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福岡・糸島をものづくりの拠点とし、デザイン、開発、製造、販売まで全てを自社で行うファニチャーブランド「リッツウェル」。「控えめでありながら確かな存在感を放つ、佇まいの美しい家具」というコンセプトが生み出す一つひとつの家具は、永く使えば使うほど愛着が湧き、だんだんと愛情が増していく。生涯寄り添える1脚、1台を選び、オーナーとして豊かな暮らしを楽しみたい。

デザイン、開発、製造、販売まで全て自社で手がけ、
世界から称賛を集める国産ファニチャーブランド

成熟した感性を持つ大人たちが足を運ぶ東京・北青山。 この地に広がる豊かな緑の商業施設の一角で、黙々と家具を作る職人たちがいる。「Ritzwell 表参道 SHOP & ATELIER」に併設されたアトリエでの光景だ。
福岡を本拠地とするインテリアブランド「リッツウェル」は、1992年の創業以来、デザイン、開発、製造、販売まで全てを自社で行い、クラフツマンシップを何より重んじるファニチャーブランドだ。同社の代表でありクリエイティブディレクターも担う宮本晋作氏はこう語っている。


「リッツウェルが求めるのは、“使う人の愛着を記憶するような家具”です。永く使えば使うほど愛着が湧き、お使いになる方がだんだんと好きになっていくような家具をお届けしたい。そのために、『家具』とは本来どうあるべきものかを深く追求し続け、人の心に寄り添うものづくりを目指しています」

創業30周年となる2022年には、職人である「作り手」と家具を購入する「使い手」を繋ぎ、人と家具の幸せな出会いの場となる「リッツウェル表参道 SHOP & ATELIER」をオープン。職人の手しごとを身近に見ながら、リッツウェルのものづくりを体感し、ブランドを代表する家具の数々にじっくり向き合うことができるスペースとなっている。


イタリアで感動した美意識と、再発見した日本文化の素晴らしさ。
二つが一つになり、「佇まいの美しい家具」を生み出した

2013年以降、大半の商品のデザイン・プロデュースを手がけているのは、2代目である現代表の晋作氏だ。初代の父・敏明氏は、1992年に福岡の地で創業して以来、大量生産・大量消費という時代の趨勢に流されることなく、職人の手しごとによって作られる椅子を中心としたオリジナル家具の企画・開発、販売を貫いてきた。

その思いを受け継いだ晋作氏は、大学で建築を学んだ後に飛騨高山で家具の製作に携わり、25才で単身渡伊。家具づくりの本場イタリアで修業を始める。イタリアの美しい景観や芸術作品に触れながら、優れた美意識を持つ職人たちと共に働いた時間は、晋作氏の大きな糧となった。同時にこの経験は、自国である日本の文化の素晴らしさを再認識する機会にもなったと晋作氏は言う。


「イタリアの芸術文化には圧倒されるものがありましたが、帰国後に京都のお寺を巡った時、日本の文化の素晴らしさを改めて認識しました。海外のお客さまに『リッツウェルの家具は日本の香りがする』と言っていただくことがありますが、この独創性はイタリアでの経験があったからこそだと思っています」


リッツウェルの独創性、それは「控えめでありながら確かな存在感を放つ、佇まいの美しい家具」というコンセプトから生み出される。日々の暮らしの中で、音楽や絵画のようにすべての人にとって安らぎや落ち着きを感じさせる存在であってほしい。それがリッツウェルのものづくりだ。人の自然な後ろ姿のように美しい佇まいを求め、晋作氏は家具の“後ろ姿”のデザインに魂を込めていると語る。そしてそのデザインをベースに、職人たちがミリ単位を極める技で一つひとつの家具を堅牢に美しく作り上げる。だからこそ、リッツウェルの家具はタイムレス・ボーダレスであり、使う人の心に温かく寄り添ってくれるのだ。


人の心に寄り添い、使うほどに愛着がわく家具。
世界から賞賛を集める、美しい糸島の地のものづくり

リッツウェルは、国内の自社工場と協力工場のみによる一貫した生産体制を守り、素材においても木や皮革、ファブリックなどの自然由来のものを厳選して使用している。木材の木目などを生かし、経年変化も考慮に入れたうえでていねいに作り上げる家具は一つとして同じものがなく、永く使うほどに愛着が湧き、だんだんと愛情も増していく。

そのリッツウェルのものづくりを支えているのが、2019年に開設された「糸島シーサイドファクトリー」だ。玄界灘からの潮風が豊かな木々の枝を揺らす海沿いの地に広がる、機能性と温かみを兼ね備えた空間。職人に不可欠な美意識や技術力は快適な環境に身を置くことでこそ磨かれるという創業以来の考えが、この美しい工場を生み出した。リッツウェルの広報を担当する若山良子さんは言う。


「『糸島シーサイドファクトリー』は、当初から職人たちの家具作りを様々な方に見ていただけるオープンファクトリーを目指して計画されました。そこには、家具を通して“作り手”と“使い手”が出会う場を創造し、ものづくりの本質に触れていただこうという想いがあります」

【写真上・下】Photography:Marco Reggi

一方2008年には、「sozo_comm」(「日本の生活関連産業ブランド育成事業」の通称)の選定ブランドの一員として、日本の家具メーカー数社と共に「ミラノ国際家具見本市」、通称ミラノサローネに初出展を果たす。ミラノサローネは毎年35万人以上の来場者を記録する世界最大レベルの見本市として不動の地位を確立している人気の見本市で、リッツウェルは以降出展を続け、2013年には日本ブランドとして初めて、サローネ会場の中でもひときわ注目の集まる「デザインホール」での単独出展を実現している。また、世界三大デザイン賞にも数えられる「レッド・ドット・デザイン賞」や「iF デザイン賞」といった名だたるデザインアワードでも受賞を重ね、世界的もその評価は高まるばかりだ。

【写真上・中・下】Photography:Marco Reggi

「『糸島シーサイドファクトリー』の開設が、2022年の『リッツウェル表参道 SHOP & ATELIER』のオープンに繋がり、そして、ミラノサローネでのデモンストレーションへと発展しました。リッツウェルにとって工場は単なる製造工場ではなく、様々な価値を生み出し進化していく、ものづくりの核となる拠点なのです」


心から愛着の持てる家具と永く暮らす豊かさが
オーナーの幸せとなり、誇りとなる

さて、人が家具を購入するのは、転居や家のリフォームなど、空間を一新するタイミングが多いことだろう。1脚の椅子、1台のテーブルが空間のムードを左右するのはもちろんだが、心から愛着の持てる家具と永く暮らすという豊かさもまた、家具選びにおいて重視したい点でもある。大事な転居においてリッツウェルを選んだオーナーのO氏は、海外で長く家具付き住宅に住んでいたため家具には無頓着だったが、日本へ帰国し新たなマンションに転居する際、リッツウェルの家具に出会い、衝撃を受けたという。

「表参道店(Ritzwell表参道ショップ&アトリエ)にお邪魔した時に、ナラ材のイージーチェアが展示してあり、一目惚れして“これ下さい!お持ち帰りできますか?”と言ってしまいました。自分の還暦記念にイージーチェアが欲しいと思っていたところで、ちょうどステッチも赤(ローズ)だったので。残念ながら展示品は購入できず、2、3カ月待つことになったのですが、待つ楽しみを経験できたことも良い時間でした」

リッツウェルのイージーチェアは身体が沈み込みすぎないため、座っている時の心地よさはもちろん、スッと立ち上がることができるのも快適だとO氏。
「リッツウェルは、家具から息遣いを感じる。使い込んだグローブのように、エイジングを楽しみたい」と語る。


また、空いている持ち家をリフォームし、週末に家族が集まってゆっくり過ごせる場所をつくることにしたNさんは、雑誌で「糸島シーサイドファクトリー」の記事を見て「日本にこんなブランドがあるのか」と驚き、「Ritzwell表参道 SHOP & ATELIER」を訪問。家族全員が囲めるダイニングテーブルとアームチェアを6脚、さらにイージーチェアを1脚購入した。イージーチェアは車椅子で生活されている高齢のお母さんが、デザインと座り心地、特に座りやすさと立ち上がりやすさのバランスを気に入ってことだったという。Nさんはこう語っている。


「家具選びで何を基準にすればいいのか最初は分かりませんでした。でもリッツウェルが日本でデザインし、日本でつくっているメーカーだと知って、すごく嬉しかったんです。職人さんの環境まで整えながらものづくりをしているブランドは少ないと思います」


これがきっかけでNさんの妹さんも新居にリッツウェルのダイニングセットを選び、さらにNさんの家を訪れた人が友人にリッツウェルを紹介し、こちらもダイニングセットを購入。このように実際のユーザーから新しい購入者へとつながっていくことが多いというが、それこそがリッツウェルというブランドの信頼性の高さを物語っているといえるだろう。

Nさんたちのようなリッツウェルのユーザーにとって、「この1点」を選び抜いて長く愛用することは当然のこと。そのためリッツウェルでは製品の購入者を対象とし、訪問メンテナンスなどを行うオーナーズクラブを運営しているという。使うほどにからだになじみ、人生の相棒となってくれるリッツウェルの家具の魅力を、ぜひオーナーとなって自分の体と心で感じてみたい。